薬学生の皆さん、Kを上下させる薬剤についてはほぼ毎年問われます。今回は代表的なものについて紹介します。紹介したもの以外にもいろいろありますが、基本的な考え方としては腎臓に負担がかかる薬剤はKを上昇させる可能性あるものと考えてください。
カリウムを上げる副作用のある薬剤:薬学生のための解説
はじめに
薬剤師の皆さんは、日々、様々な薬剤を取り扱います。その中には、カリウム値を上昇させる副作用を持つ薬剤も存在します。カリウムは、体内の電解質の一つであり、神経や筋肉の働きに重要な役割を果たしています。カリウム値が過剰になると、心拍リズムの異常や筋肉の麻痺など、重篤な副作用を引き起こす可能性があります。
本記事では、薬学生の皆さんが、カリウムを上げる副作用のある薬剤について、その種類、作用機序、副作用、患者への説明のポイントなどを理解し、将来、薬剤師として安全に薬剤を取り扱えるよう、必要な知識を解説します。
カリウムを上げる薬剤の種類と作用機序
カリウムを上げる副作用を持つ薬剤には、主に以下のものが挙げられます。
- アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬: レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を抑制することで、血圧を下げますが、同時に腎臓でのカリウム排泄を抑制し、カリウム値を上昇させることがあります。
- アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB): ACE阻害薬と同様に、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を抑制し、血圧を下げますが、カリウム値を上昇させることがあります。
- カリウム保持性利尿薬: 腎臓でのナトリウム排泄を促進する一方で、カリウムの再吸収を促し、カリウム値を上昇させることがあります。
これらの薬剤は、高血圧、心不全、腎臓病などの治療に用いられますが、カリウム値の上昇という副作用に注意する必要があります。
カリウム値上昇の副作用
カリウム値が上昇すると、以下の症状が現れることがあります。
重症の場合には、心停止に至ることもあります。
患者への説明のポイント
薬剤師は、これらの薬剤を処方された患者に対して、以下の点を丁寧に説明する必要があります。
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- 異常を感じた際の対応: 異常を感じた場合は、すぐに医師または薬剤師に相談するよう指示する。
薬剤師の役割
薬剤師は、患者が安全に薬を服用できるように、以下の役割を果たすことが求められます。
- 薬歴の確認: 患者が服用している他の薬剤との相互作用に注意する。
- 血液検査結果の確認: カリウム値の変化を定期的に確認し、必要であれば医師に報告する。
- 患者への指導: 薬剤の正しい服用方法や副作用について、患者に丁寧に説明する。
- 他の医療従事者との連携: 医師や看護師と連携し、患者の状態を把握する。
まとめ
カリウムを上げる副作用のある薬剤は、多くの疾患の治療に用いられますが、その副作用に注意する必要があります。薬剤師は、これらの薬剤に関する知識を深め、患者さんに安全な薬物療法を提供することが重要です。
問題例
以下の薬剤の中で、高カリウム血症を引き起こす可能性が高いのはどれか。
- カルシウム製剤
- ACE阻害剤
- 鉄剤
- ビタミンD製剤
解答 2. ACE阻害剤
解説 ACE阻害剤は、アルドステロン分泌を抑制することで腎からのカリウム排泄を抑制し、高カリウム血症を引き起こす可能性があります